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東京マルイ 電動ガンの歴史

電動ガン第一号

日本で、そして世界で最初の電動ガンFA-MAS 5.56-F1を東京マルイが発売したのは1991年。Wikipediaによれば性格な日付は4月26日となっている。
FA-MASは東京マルイが独自に開発したもので、ラックギア式だが、東京マルイがラックギア式にたどり着くまでにはかなりの紆余曲折があったようで、最初の試作はクランク式だったとの話だ。ともあれ東京マルイは最高のシステムを手に入れ、FA-MAS以降のすべてのメカボックスの基本としている。

次々に開発されたメカボックス

だが残念なことにFA-MASはヒット作とはならなかった。当時の主流はガスフルオートであった上、あまりポピュラーではない機種選定もマイナスとなった。これが好転したのは次の製品M16シリーズとMP5からだ。これらにはVer.2メカボックスが搭載されていた。FA-MASのVer.1がFA-MAS専用だったのに対し、Ver.2は非常に汎用性が高く多くの機種に搭載された。これで東京マルイの機種選定の幅が一気に広がった。元々はM16用に作られた物だったが、実銃M16が現用ミリタリーライフルの基本ともいえるフォルムを持っていたことが幸いしたとも言える。Ver.1との最大の違いはモーターの分離と、ギアの減速比を高めたことだ。これによってよりパワフルになり、ギアノイズも低減された。
しかし東京マルイはそれで満足することなく、矢継ぎ早に新しいメカボックスを開発した。AK47のVer.3、PSG-1のVer.4、UZIのVer.5、トンプソン/P-90のVer.6、M14のVer.7、そして「次世代」へと繋がっていった。この開発力のすごさはトップメーカーならではだ。単に資金が潤沢というだけでなく、優れたスタッフが何人も揃っているということでもある。
内部パーツは求められる機能を果たせばどんな構成、形状でも自由でそこに設計者の個性が出る。Ver.3のモーターハウジングによるモーターの取り付けや徹底したコンパクト化、Ver.4の複雑なパーツ形状、Ver.6ではベベルギアの回転軸を中心としたモーター取り付け角度の可変化などがそうした例だ。

スタンダード電動ガンのメカボックス

銃の内部にある空きスペースに収納したバッテリーを使ってグリップ内のモーターを回転させ、3枚のギアを使って回転数を下げることで確保したトルクにより、ピストンを後退させてスプリングを圧縮するのが電動ガンだ。そして勢いよく前進するピストンが生み出す気流でBB弾を発射するというのが一連のメカニズムである。
最初にこの方式の電動ガンを世に送り出した東京マルイを筆頭に、現在では数多くのメーカーから様々な製品が発売されているが、3枚のギアを使ってモーターの回転を減速し、ピストンの前後運動に変換するという基本的な構造はどの製品もほとんど変わらない。

次世代電動ガンのメカボックス

射撃時に内部のウエイトが前後動することでリコイル感を生み出すシステムや、BB弾が発射されると同時にダミーのボルトがまるで本物のように勢いよく前後に動くなどのギミックを搭載した次世代電動ガンが発売されたのは2007年のこと。それにともない従来の電動ガンはスタンダード電動ガンと呼ばれるようになった。
次世代電動ガンのメカニズムをスタンダード電動ガンと比べると、ギアの配置や大きさなどが大きく変更されているが、基本的な仕組みそのものは変わらない。

電動ガンのこれから

25年の歴史の中で、東京マルイが生み出した電動ガンは数多く、スタンダードのほか次世代電動ガンや電動ショットガンなど膨大な数になる。これを超えるメーカーはない。またメカニズム的にも、多彩なメカボックスと、25年間のノウハウの蓄積がある。東京マルイ電動ガンの歴史は間違いなくこれからも続くだろう。ちなみに東京マルイは2004年に電動ハンドガングロック18C、2006年にはコンパクトサブマシンガンのMP7A1、2007年になるとAK74MN次世代電動ガン、さらに2009年にはハイサイクル電動ガンG3SAS HCを開発・発売している。そのためスタンダード電動ガンは2009年以降新規に発売されていない。


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