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電動ガンの応用知識

大事なのはアンペア数

過去には様々なボルテージの電池があり、標準の8.4V以外にも7.2Vや9.6V、12Vのバッテリーも存在した。今では特にLiPoバッテリーは7.4Vか11.1Vのどちらかとなる。一見すると選択肢の幅が狭まったようだが、電動ガンの用途においては、この2つで充分であるということだ。また、4桁ないし3桁の数字は、アンペア数を表す。この数字が大きいほど容量の大きなバッテリーを意味し、発射できる弾数が多くなる。さらにトルクも増加する。つまりレスポンスが向上するのだ。

定格電圧とは?

基本的には電圧表記は、そのバッテリーの定格電圧を表示する。1セル当たりの電圧✕本数によって定格電圧は決まり、逆に言えば電圧はセルの数を表している。ニッケル水素の8.4Vバッテリーなら7セル(1.2V✕7=8.4V)、リポの7.4Vは2セル(3.7V✕2=7.4V)という具合である。そして、リポバッテリーの高性能は、セルの数の少なさによっても支えられている。それが内部抵抗という要素である。ニッケル水素やニカドバッテリーは、セル1つ当たりの電圧が低いのでセルの数を増やして電圧を増加させたが、本数の増加は内部抵抗の増大というデメリットを孕んでいる。

内部抵抗とは?

ニッケル水素の8.4VよりもLiPoバッテリーの7.4Vの方が好サイクルを叩き出したりする。これは、ニッケル水素がセル7本で8.4Vをひねり出すのに対し、LiPoはセル2本で7.4Vを発生させるからだ。定格電圧が低いにも関わらずLiPoの方が調子が良い。この差は内部抵抗の差である。セルの数と内部抵抗は比例する。そのため、セルが少ない方が効率的にパワーを引き出せるのだ。また、バッテリーの異常発熱や、容量の低下などの劣化も内部抵抗の増大が原因。ニカドやニッケル水素では、内部抵抗を低下させる加工を施したザップドバッテリーがあったが、今では目にしなくなった。

Cレートとは?

LiPoバッテリーには「30C/60C」といった表記がある。これは充放電の能力を表した数字で、この数値が高いほど放電能力が高い、つまり高い電流を許容するバッテリーといえる。同じボルト数、アンペア数であればこのCレートが高い方が高性能であるといえ、価格も上昇する傾向にある。また、放電と同様充電時も高いアンペア数を許容するが、基本的には1~1.5Aで充電するのが安全だろう。2Aの充電電流を持つ充電器も存在するが、これは急速充電用といえるだろう。高いcレートを持つバッテリーは、レスポンスやサイクルの向上が見込める。これを組み込むだけで実車性能はアップするので、手軽なチューニングに最適だ。

バッテリーの形状

バッテリーには銃本体に収納する必要がある以上、銃の中にある狭い空間に潜り込ませる必要がある。大別するとラージ、ミニ、スティックタイプに分類することができる。固定ストックモデルなど、大きな空間が確保できるモデルはラージバッテリー、レシーバーやハンドガードといった限られた空間に収めるモデルはミニやスティックタイプを使用する。LiPoバッテリーの場合、そもそも薄型のため自由度が高く、さらに収納力を高めるセパレートタイプのバッテリーも存在する。

モーターについて

バッテリーと切っても切れない動力源、それがモーターである。モーターの性能を決める要素は数多いが、基本的にトルクと回転速度の両立は難しい。モーター内部にあるコイル線の径を太くし(トルクの向上)、巻き数を増やせば(回転速度の向上)それぞれの要素の向上は見込める。ただ、モーターはグリップやメカボックスに収めなければならないというサイズ的な制約があるため、線径の増大と巻き数の増加の両立は難しいのだ。そのため、どちらかの要素を追求した「トルクタイプ」「ハイスピードタイプ」のどちらもが存在する。立ち上がりの良さはトルクアップ、サイクルはハイスピードタイプが優れる。

ヒューズの必要性

一部のインポート電動ガンを除いて、ほとんどのモデルでヒューズが採用されている。機械的なトラブルが発生して、電気回路に負荷がかかった場合にヒューズが飛んで回路を強制的に切断することで、大きな機械的トラブルを回避するのが目的だ。大きな電圧を持つバッテリーが普及し、またFETや電子トリガーが一般化してきたからこそ、ヒューズの重要性はより高まったといえる。

FETや電子トリガー

昨今、標準でFETを搭載したモデルや電子トリガーを採用したモデルが増えている。
FETとはトランジスタスイッチのことで、ノーマルのスイッチよりも耐久性、効率ともに優れているので、同じバッテリーを使用した場合、FETを搭載している物の方が性能に優れる。
電子トリガーは、トリガー動作の検出方法からモーターの制御までを電子制御で行い、ピストン位置のコントロールからサイクルの速さ制御、バースト制御を行える多機能なトリガーシステムである。
FETの方が登場が早いが、広義では電子トリガーのひとつといえるだろう。ノーマルの配線では端子を用いたスイッチを必ず電流が通るが、FETや電子トリガーの場合、スイッチにはほとんど通電しないのが決定的な違いといえる。


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